ジョーダン・ハービンジャー・ショーで神経科学者ボー・ロト(Beau Lotto)との対談がありました。
「誰もいない森で木が倒れたら音はするだろうか?」
ボーはこの禅問答に対する科学的な答えを出しました!!
感覚を疑え
ボーは著書「逸れろ(Deviate)」で、人間の感覚は現実を正確に把握するようにできていないと言っています。例えば視覚は対象に光があたって、光の形状が変えられて目に入って、その信号が脳に処理されて初めて意味を持ちます。そこには元の対象や光が実際にどうなっているかという情報はありません。聴覚に関しても、対象が空気などを振動させて、それが耳に入って、その信号が脳に処理されて始めて音になるのです。映像や音として認識する前はただのエネルギー(電磁波や振動)でしかないのです。
というわけで、誰もいない森で気が倒れても、振動エネルギーは発生するが、音はしないのです!!
Deviate: The Science of Seeing Differently
ISBN-10: 1474600344
ISBN-13: 978-1474600347
常識を疑え
自分が観ている世界は脳みそが作り上げた幻覚(現実をそのまま見ているわけではない、という意味で)だとわかったら、次は精神的なお話です。この「幻覚」はこれまでの経験などの積み上げによるバイアス(偏見)です。そして出来上がった「常識」というものはバイアスと想定によって構成されています。これは、個々人で違うものなので、自分の常識は自分にしか通用しないのです。
誰かが理不尽に振舞っているように見えても、その人のバイアスと想定からは当たり前の反応かもしれない、ということです。その人が「おかしい」のではなく、「自分とは違う」に過ぎないのです。これが分かればもっと人に優しくなれるかも?
自分を変える
ボーはイメージトレーニングが有効であるとも言っていました。何かを頭の中で視覚化すると、実際にやるのと同じ反応が脳みその中で起こるそうです。ただし、力は弱くなります。弱くなりますが、リスクもほとんどありません。実際にスポーツとか練習したらケガをする可能性がありますからね。
自分の行動を変えたい場合などでも頭の中で何回か練習するといいです。たとえば、Aというクセがあるとして、Bに変えたいとする。Aが出てくる場面を想像して、まずはAをしないようにします。そしてAをしないようになったら、Bをするように変えていきます。
さらに、過去を変えることもできるそうです!!
起こった出来事は変えられませんが、それに対して自分がどう感じたかを変えるわけです。そうすると、悪いと思っていた過去が良い過去になったりするのです。
まとめ
目や耳は脳みそへの入力装置でしかなく、電気信号やバイアスを通して世界に意味を持たせている。周りをどのように受け止めるかを変えてしまうことができるのはすごいことだ!!
逆方向にも変わりうるので、気をつけないと。