ジョーダン・ハービンジャー・ショーでグーグルの元CEO、親会社のアルファベットの取締役であるエリック・シュミット(Eric Schmidt)との対談がありました。
著書「100兆円のコーチ(Trillion Dollar Coach)」のコーチはビル・キャンプベル(Bill Campbell)のことです。グーグルやアップルのコーチをしていたので、総額100兆円ということです。元々アメフトのコーチでしたが、シリコンバレーに来たわけです。エリックは最初、自分の経営コーチと思っていたが、実はチーム全体のコーチでした。会社の方針からずれた社員を戻したりしていたそうです。
Trillion Dollar Coach: The Leadership Playbook of Silicon Valley’s Bill Campbell
ISBN-10: 0062839268
ISBN-13: 978-0062839268
コーチング
エリックの本はビルについての本とも言えますが、マネージメントスキルについて学ぶのにも使えるそうです。
例えば、経営者はカオスを管理しないといけない。
エリックもラリー・ペイジ(Larry Page)やセルゲイ・ブリン(Sergey Brin)とたくさん議論をしたが、全員グーグルのためを思ってイロイロ主張していた。その方向性がそろっているならば議論も良いことである。意見の対立が起きた時は、当事者に議論させ、まとまらなかったら決断をすればいい。ほとんどの場合は優秀な人に任せてどうすればよいか結果だけ聞くそうです。
ボトムアップを機能させるには優秀な人を雇うのも大切。有能なだけでなく、仕事と関係ない面白さを持っているのを重視していたそうです。また、コーチングを有効にするために、ビルの評価は給料に反映されたそうです。良い行動はプラスの結果になり、悪い行動はマイナスの結果になるのです。
エリックは自分のことを指して、一番コーチングから得られる人が一番抵抗をする、とも言っていました。自分が有能だと思っているので、コーチは必要ないと言うのです。それにはスポーツの例を出して、テニスプレイヤーは全員コーチがついている。しかしコーチがプレイヤーよりもうまいわけではない。
人工知能
エリックはAI(人工知能)について、解析のためのツールに過ぎないと言いました。まだ1歳児と同じ知能も再現できないので、映画とかに出てくる「AIの反逆」とかは当分心配しなくてもよいと。今のレベルだと物を認識したり、ゲームをするには適している。
今後、医療の世界で効果を発揮できるそうです。自分と同じ遺伝子構成を持っているたくさんの人のデータがそろえば、どんな病気にかかりやすいとかが正確にわかるようになると。現在、医者が経験のもとに行っていることをビッグデータにしてAIにやらせるわけです。
また、入力データをもとに結果が出る。バイアスのかかったデータをあげれば結果もバイアスがかかっていることになる。
AIにバイアスを取り除くことを教えられるか?
バイアスを抜かれた結果を人間が受け入れることができるか?
まだまだ課題は多そうです。
プライバシーと自由について
多国籍企業をやってわかったことは、国によってプライバシーの考え方が色々あるという事。
例えば同じ民主主義国家のイギリスとドイツでも、政府による監視について真逆。イギリスでは安全のために国家による監視を気にしないが、ドイツは過去の経験から毛嫌いする。アメリカ内でも意見が分かれていて、テロから守るのに必要と考える人もいれば、個人の自由への侵害と捉える人もいる。
エリックが心配しているのは表現や個人の自由への規制が行き過ぎてしまうこと。ヘイトスピーチへの規制など良い意図から始まっても、活動家の行動を制限したりしないのではないかと。
ヨーロッパでは政府がISPに入ってインターネットを一部止めることもできるそうです。テロリストを恐れているなら良いことかもしれませんが、自由は失われます。少しの悪者を排除するために多くの人の権利をはく奪しやすくなってしまうのです。
まとめ
世界一の企業トップでもコーチングは必要。まずは謙虚になって人のアドバイスに耳を傾けたい!!